2011/06/13

トヨタが日本から逃げ出す日

これまで書いてきたことが現実になるかもしれません。

トヨタ社長「日本で物づくり、限界超えた」 読売オンライン

トヨタの豊田章男社長が記者会見で、電力供給の不安を理由に「日本でのものづくりが、ちょっと限界を超えたと思う」と述べたそうです。東芝も西日本シフトを検討していましたが、関西も電力不足で「対応をこれから検討する」とのこと。これらは政府やメディアに対する産業界からの「警告」と言えるでしょう。こんな茶番をいつまでも続けるなら、本当に海外に工場を移転するよと。

人件費も電気代も高い日本で、自動車メーカー各社がかろうじて日本に製造拠点を残してきたのは、国内市場がそれなりに大きく、海外からの輸送費や関税を考慮すれば、なんとか国内でやっていけるという判断からです。「日本の雇用を守る」ことで、国内市場の縮小を防ぐ意味もあるでしょう。コスト削減だけを考えれば、日本に残るかどうかはギリギリのところで、実際に日産はマーチの製造拠点をタイに移しています

もしトヨタが国内工場を海外に工場を移転すれば、自由競争の世界ですから、他の自動車メーカーも雪崩を打って追随するかもしれません。そうなれば、自動車メーカーにぶらさがっている下請け企業も、一緒に海外についていくか倒産するかの選択を迫られます。海外移転は家電・電機など他の業界にも波及するでしょう。

日本からメーカーの工場がどんどん海外に逃げ出せば、確かに「原発を止めても電力不足にはならない」かもしれません。その結果、何が起きるのか。産業の空洞化で日本経済は崩壊し、失業率は上昇し、派遣や契約の仕事さえ奪い合いになります。「原発を再生可能エネルギーで代替」しても同じことです。10年やそこらで20%まで増やせば電気代は跳ね上がり、やはり日本のメーカーは海外に逃げ出します。「原発を止めて電力が足りなくなっても、節電して我慢すればすむ」などというレベルの話ではないのです。失業して生活できなくなっても、そんな悠長なことを言ってられるでしょうか。

「節電」が奪うハケンの仕事 震災3カ月、厳しさ増す 日本経済新聞

操業停止ではなく輪番操業であっても、勤務日・時間が定まらないため、派遣会社に人材の手配をできず、派遣会社側も勤務日・時間が不規則なために人を集められないという状況になっているそうです。輪番操業でも大きな影響があるということです。

こういうことが起きるというのは、ちょっとだけ頭を働かせて想像すれば、誰でも気づくことだと思うのですが。